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慰謝料の請求方法

慰謝料請求権というのは「権利」であって、請求をするかしないかも自由ですし、法律上の決まりがある訳ではありませんから、請求する方法も、実に様々な方法から自由に選択することが可能です。

  • 口頭で請求する方法
  • 電話や面談によって請求する方法
  • 内容証明などの文書で請求する方法
  • 訴訟や調停などの裁判手続きで請求する方法
他。

もっとも、本来、直ちに裁判を起こすことは滅多にないと思いますし、裁判は、どうしても、多大な費用と時間をとられますので、更なる経済的負担や精神的苦痛を強いられますし、実際、貸金であっても慰謝料であっても、通常は、裁判外の示談で解決することが大半です。

かといって、口頭ですと、相手の対応が悪かったりすると、ついつい感情的になり、逆に脅迫になってしまうという危険もあります。
また、後で話が変わったり、「言った言わない」の争いになる可能性もあります。

なお、貸金であっても慰謝料であっても、請求すること自体は正当な権利の表明であり、本来、脅迫でも恐喝でもありませんが、「要求の金額を支払わないと●●します」「●●されたくなければ支払って下さい」等と条件をつけて威迫や畏怖の念を与えてしまうと、脅迫や恐喝になりかねませんので危険です。

さらには、請求する金額の具体的な根拠を示さなければ、相手も正当なのか法外なのかの判断すらつかず、話が進まなくなってしまうこともあります。


そのため、まずは内容証明による書面で、きちんとした根拠を示して請求を行い、それでも応じないなら、最終的には裁判、という流れが、一般的ですし、一番良いと思います。

以下に、内容証明、調停、訴訟(裁判)の、3種類の方法について説明致します。

内容証明による請求

内容証明とは、手紙の一種であり、差し出した日付、差出人の住所・氏名、宛先の住所・氏名、文書に書かれた内容を、郵便事業株式会社(通称: 日本郵便)が証明してくれる一般書留郵便物のことをいいます。

内容証明は、決して特別な法的効力を持つものではありません。
ただし、送付した手紙の全文が郵便局にも保存されるため、主張したことすべてが、あとで証明出来るというものです。
また、配達証明を付けることで、相手が「受け取っていない」などと言い逃れすることも出来なくなります。
内容証明には、相手に「最終通告」としてのプレッシャーをかける非常にすぐれた効力があります。
また、文書ですから、「言った言わない」とか「聞いた聞いてない」などのトラブルを回避出来、齟齬を生じて誤解を招くリスクも少ないです。
その場の感情的な勢いだけで相手を責めるより、論理的な説明や心情に働きかける効果も高いです。
よって、出すタイミングや文章の書く内容によっては、非常に効果的であると言えます。
きちんとしたタイミングで自分の受けた精神的苦痛や被害状況などを書いて相手の心情に訴えかけ、法的にも許されないということを論理的にきちんと文書で伝えることが出来れば、実際には、この「内容証明」の段階で示談に進むケースが大半です。
ただ、この内容証明の段階で示談へ話が進まない場合には、「調停」または「訴訟」を行う必要が出てきます。

調停申立による請求

調停とは、簡易裁判所で非公開で行われる「話し合い」です。
弁護士などの専門家が調停委員として関与し、双方の主張を聞きながら、法律的な基準に基づきながらも当事者の実情を考慮して助言し、合意(和解)を目指すという制度であり、裁判のように、強制的に答えを下すものではありません。
よって、弁護士などに依頼しなくても充分、手続きの進行を進めることが可能です。
当事者双方が合意さえすれば、調停成立となり、判決と同等の効力を持つ「調停調書」が作成されます。
あとで「そんな約束していない」などと言い逃れすることも出来なくなり、慰謝料の支払いを怠れば、直ちに強制執行することも可能となります。
この場合、当事者双方が合意さえすれば慰謝料は「5万円」でも「1000万円」でも構いません。
ただし、
 相手方が出頭しなかった
  または
 出頭したけれども話し合いがつかなかった
という場合には、不調(調停不成立)となり、終了してしまいます。
話し合いの合意を強制することは出来ません。
調停で合意に至らなかった場合には、改めて訴訟(裁判)をするしか方法はありません。

よって、利用される際は、概ね事実経緯に争いが無くて和解に至る可能性が充分にあると見込める場合でないと、あまりお勧めはしません。
なお、離婚の場合など、調停前置主義といって、法律で直ちに訴訟を起こすことが禁止され、訴訟する前に調停を経なければならないと定められているものもあります。


訴訟(裁判)による請求

裁判とは、裁判所の法廷において当事者が争点を主張・立証し、最終的には、裁判官が法律に基づいて紛争に対する判断をしてもらうという制度です。
裁判所へ「訴状」を書いて提出し、公開の法廷で、口頭弁論によって進められる手続きとなり、多くの場合、弁護士に依頼して進めてもらうことになります。
最終的に裁判上での和解・合意に至らなかった場合には、裁判官による「判決」が下される、ということになります。
この場合に下される慰謝料金額は、請求した金額以内の額で、過去の判例や相場などから、合理的に決定されます。
もちろん、必ず弁護士を立てなくてはならないという決まりはありませんので、制度上は、本人のみで申立をすることも可能ではありますが、法令や過去の判例などを踏まえて、論理的に説明していかなくてはなりませんから、やはり弁護士に依頼する方が無難ではあります。
一般的には、内容証明を出してみて示談に至らなければ弁護士に依頼する、という流れの方が良いかと思います。



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